ChatGPTで会議資料の構成を30分→5分にした方法
1. 資料構成に30分かかっていた理由
以前は、会議資料を作ろうとすると、まずPowerPointを開いていました。
ところが、真っ白なスライドを前にすると、なかなか手が進みません。
伝えたいことは頭の中にある。でも、
「課題から説明したほうがいいかな」
「先に結論を見せるべきか」
「この会議では、どこまで説明すればいいんだろう」
こんなことを考えているうちに、構成を決めるだけで30分ほど経っていました。
ここでいう「資料構成」とは、デザインや文章を整える作業ではありません。
● 何をどの順番で伝えるか
● 各スライドに何を載せるか
● 最後に何を決めてもらうか
● 全体を何枚にまとめるか
こうした資料の骨組みを決める作業です。PowerPointで見た目を整える時間は含めていません。
なぜ、これだけ時間がかかっていたのか。
理由はシンプルで、資料を作りながら構成まで考えていたからです。
1枚目を作ったあとで、「やっぱり先に背景を説明したほうがいい」とスライドを追加する。途中まで進めてから、内容が重複していることに気づいて削除する。
全体像が決まっていないので、作っては戻り、スライドの順番を何度も入れ替えていました。
つまり、PowerPointの操作に時間がかかっていたわけではありません。
「何を、どの順番で伝えるか」という細かな判断を、何度も繰り返していたのです。
そこで私は、ChatGPTに完成した資料を丸ごと作ってもらうのではなく、最初の構成案を出してもらうことにしました。
ただし、「会議資料の構成を考えて」と伝えるだけでは、実務で使える案にはなりません。
使える構成に近づけるために、ChatGPTへ渡したのが4つの情報です。
続いて、その4つを紹介します。
2. AIに渡した4つの情報
ChatGPTに構成案を出してもらうために、長い説明文を用意したわけではありません。
私が渡したのは、次の4つです。
① 会議の目的
まず伝えたのは、「何のために開く会議なのか」です。
たとえば、
> 業務改善施策の進捗を共有し、今後の進め方について合意を得たい
というように、会議の目的を一文で伝えます。
ここが曖昧だと、ChatGPTは情報をきれいに並べることはできても、会議のゴールにつながる構成までは作れません。
② 資料を見る人
次に、「誰に向けた資料なのか」を伝えました。
上司に報告するのか、現場の担当者に説明するのか、意思決定者に判断してもらうのか。同じテーマでも、相手によって必要な情報や説明の順番は変わります。
私は、相手の役職だけでなく、そのテーマをどこまで知っているかも添えるようにしています。
> 参加者は管理者3名。今回の施策について詳しく知らない人もいる
この程度の情報でも、前提から説明すべきか、結論から入るべきかをChatGPTが判断しやすくなります。
③ 伝えたい事実や材料
3つ目は、資料に入れたい情報です。
ここは文章に整えず、手元にある情報をそのまま箇条書きで渡します。
● 現在起きている課題
● これまでに試したこと
● 得られた結果
● 残っている問題
● 今後の予定
大切なのは、数字や現場の状況など、自分にしか分からない事実を渡すことです。
ChatGPTにすべてを考えてもらうのではなく、事実はこちらが用意して、その見せ方や順番を考えてもらうイメージです。
④ 会議で決めたいことと資料の条件
最後に、「会議が終わったとき、どうなっていたいか」を伝えました。
たとえば、
> 試行を継続するか判断してもらいたい
> 次回までの担当者と期限を決めたい
といった内容です。
あわせて、「6枚以内」「説明時間は10分」「結論を先に見せたい」など、資料の条件も伝えます。
この情報があると、ChatGPTは単なる説明資料ではなく、会議のゴールから逆算した構成を考えやすくなります。
4つの情報を、きれいな文章にまとめる必要はありません。
短いメモや箇条書きでも十分です。私も、頭の中にある情報をそのまま入力しています。
では、実際にどのような形でChatGPTへ伝えたのか。次は、使用したプロンプトを紹介します。
3. 実際に使用したプロンプト
4つの情報をそろえたら、次のような形でChatGPTに入力しました。
案件名や数値は公開用に一部置き換えていますが、プロンプトの流れは実際に使ったものと同じです。
あなたは、会議資料の構成を考えるのが得意なアシスタントです。
以下の情報をもとに、PowerPointの構成案を作ってください。
【会議の目的】
業務改善施策の検証結果を共有し、
次の試行に進むか合意を得る。
【資料を見る人】
管理者3名。
施策の概要は知っているが、
検証の詳しい内容までは知らない。
【伝えたい事実や材料】
・現状は手作業が多く、担当者によって進め方が異なる
・一部の業務でツールを試した
・試した結果、作業時間は短くなった
・一方で、入力方法と例外対応に課題が残った
・次回は対象を絞り、2週間追加で検証したい
【会議で決めたいこと】
・追加検証を実施するか
・実施する場合の対象範囲と担当者
【資料の条件】
・6枚以内
・説明時間は10分
・結論を先に示す
・1枚につき、伝えたいことは1つにする
各スライドについて、次の5項目を表形式で出してください。
1. スライド番号
2. タイトル
3. そのスライドで一番伝えたいこと
4. 載せる内容
5. 入れるとよい図やグラフ
情報が足りない場合は推測で補わず、
最後に確認事項を書いてください。
“`
意識したのは、ChatGPTに「見やすい会議資料を作って」と丸ごと任せなかったことです。
今回ほしかったのは、完成したPowerPointではありません。
まずは「何を、どの順番で伝えるか」という構成案です。そのため、依頼する範囲を資料の骨組みに絞りました。
また、出力形式も具体的に指定しています。
スライドごとに「一番伝えたいこと」を出してもらうことで、情報を詰め込みすぎていないか確認しやすくなりました。
図やグラフの案も一緒に出してもらえば、あとからPowerPointに落とし込むときの迷いも減らせます。
このプロンプトを送ると、数十秒ほどで6枚分の構成案が出てきました。
ただし、そのまま会議で使える内容になったわけではありません。
実際の出力には、説明が一般的すぎる部分や、こちらの意図と少しずれた部分もありました。続いて、どこを修正したのか紹介します。
4. 出力をそのまま使えなかった部分
ChatGPTから返ってきた構成案は、たたき台としては十分でした。
出力されたのは、おおよそ次のような流れです。
1. 会議の目的
2. 現状の課題
3. 検証した内容
4. 検証結果
5. 残っている課題
6. 今後の進め方
話の順番が整理されているので、ゼロから考えるよりもずっと楽です。
ただ、実際の会議資料として見ると、そのままでは使いにくい部分が3つありました。
スライドのタイトルが少し抽象的だった
ChatGPTがつけたタイトルは、「検証結果」や「今後の進め方」といった一般的なものでした。
内容を分類する見出しとしては間違っていません。ただ、タイトルを見ただけでは、何が分かったのかまでは伝わりません。
そこで、タイトルを次のように具体化しました。
● 「検証結果」
→「作業時間は短縮したが、例外対応に課題が残った」
● 「今後の進め方」
→「対象を絞り、2週間の追加検証を実施したい」
スライドのタイトルだけを追っても、資料全体の流れが分かる状態を目指しました。
事実の重みづけが足りなかった
ChatGPTは、渡した情報をきれいに整理してくれます。
一方で、どの情報が現場で特に重要なのかまでは、こちらが伝えなければ分かりません。
たとえば、「作業時間が短くなった」という結果と、「例外対応に課題が残った」という結果が、同じ重さで並んでいました。
しかし実際には、追加検証の判断をしてもらうために、成果だけでなく残った課題もしっかり見せる必要があります。
そこで、成果と課題を分けて見せるのではなく、同じスライドで比較できる形に修正しました。
決めてほしいことが最後まで出てこなかった
最も大きく直したのは、この部分です。
構成案では、「追加検証を実施するか」という判断事項が、最後のスライドに置かれていました。
これでは、途中まで聞かないと会議のゴールが分かりません。
今回は意思決定者に判断してもらう資料なので、冒頭でこちらの提案を伝え、そのあとに理由や検証結果を説明する流れへ変えました。
ChatGPTが出した構成案は、完成品ではありません。
ただ、ゼロから考える必要がなくなったことで、私は「構成を作る作業」ではなく、「会議で伝わる形に直す作業」へすぐに移れました。
では、実際にどのような構成へ修正したのか。次は、完成イメージを紹介します。
5. 修正後の完成イメージ
|枚数 |スライドタイトル |スライドの役割 |
|—|—————————|—————–|
|1枚目|結論:対象を絞り、2週間の追加検証を実施したい |最初に提案と会議のゴールを伝える |
|2枚目|現状:手作業が多く、担当者によって進め方に差がある |改善が必要な理由を共有する |
|3枚目|一部の業務でツールを試し、作業時間の変化を確認した |検証した範囲と方法を説明する |
|4枚目|作業時間は短縮したが、入力方法と例外対応に課題が残った|成果と課題を同じ画面で見せる |
|5枚目|追加検証では対象を絞り、残った2つの課題を確認する |次に試したい内容を具体化する |
|6枚目|決めてほしいのは、実施可否・対象範囲・担当者の3点 |会議で判断してほしいことを整理する|
ChatGPTの構成案を修正し、最終的には次の6枚にまとめました。
大きく変えたのは、1枚目に結論を持ってきたことです。
最初に「追加検証を実施したい」と伝えることで、参加者は何について判断すればよいのかを理解したうえで、その後の説明を聞けます。
スライドタイトルも、「現状の課題」「検証結果」といった項目名ではなく、そのスライドで伝えたい内容を文章にしました。
タイトルだけを上から読んでも、
「現状に課題がある」
「ツールを試した」
「効果はあったが、課題も残った」
「そのため、追加で検証したい」
という流れが分かります。
最後のスライドには、会議で決めてほしいことを3点に絞って載せました。
単に「ご意見をお願いします」で終わらせず、何を判断してほしいのかを具体的にすることで、会議の着地点も分かりやすくなります。
ChatGPTが作ったのは、あくまで最初の骨組みです。
そこに、現場で重要な情報の重みづけや、意思決定者に伝わりやすい順番を加えることで、実際に使える構成へ近づけました。
ここまで読んで、「本当に30分かかっていた作業が5分になったの?」と思う方もいるかもしれません。
そこで、実際にどこからどこまでを測り、何分かかったのかを紹介します。
6. 本当に5分になったのか実測
ここで、誤解のないようにお伝えしておきます。
5分になったのは、会議資料を完成させるまでの時間ではありません。
短縮できたのは、次の内容を決める「構成づくり」の時間です。
● スライドの順番
● 各スライドのタイトル
● 1枚ごとに伝えたいこと
● 会議で決めてほしいこと
PowerPointへの入力やデザインの調整、数字の確認などは、この5分に含めていません。
実際に、6枚程度の業務改善資料で構成が固まるまでの時間を測ったところ、次のような結果になりました。
|作業 |かかった時間|
|—————-|—–:|
|4つの情報を箇条書きにする |約2分 |
|プロンプトへ入力して送信する |約1分 |
|ChatGPTの構成案を確認する|約1分 |
|タイトルと順番を修正する |約1分 |
|合計 |約5分 |
以前は、PowerPointを開いてから構成を考えていたため、同じ作業に約30分かかっていました。
ChatGPTを使ったあとは、最初から6枚分のたたき台がある状態で考え始められます。
もちろん、ChatGPTの出力を読んで、
「この情報はもっと前に出そう」
「このタイトルでは結論が伝わらない」
「この2枚は1枚にまとめられそう」
といった判断は必要です。
それでも、真っ白な状態からすべてを考えるより、修正する対象があるだけで迷う時間は大きく減りました。
ただし、どんな資料でも必ず5分で構成が決まるわけではありません。
会議の目的が曖昧だったり、伝える材料がそろっていなかったりすると、4つの情報を整理する段階で時間がかかります。内容が複雑な資料や、重要な意思決定に使う資料では、構成案をより慎重に確認する必要もあります。
それでも、最初のたたき台を短時間で作れるだけで、資料作成のスタートはかなり楽になりました。
30分かかっていた作業が約5分になった理由は、ChatGPTがすべてを代わりに考えてくれたからではありません。
構成を考えるために必要な情報を整理し、最初の案をすぐに見える形にできたからです。
最後に、今回の方法をすぐ試せるよう、読者用のコピペプロンプトを紹介します。
7. 読者用コピペプロンプト
最後に、今回の方法をすぐ試せるよう、コピペ用のプロンプトを用意しました。
そのままコピーして、【 】の中を自分の会議に合わせて書き換えてください。文章に整えず、箇条書きのメモでも大丈夫です。
“`text
あなたは、実務で使う会議資料の構成を考えるのが
得意なアシスタントです。
以下の情報をもとに、
PowerPointの構成案を作ってください。
【会議の目的】
【ここに、何のために開く会議なのかを入力】
【資料を見る人】
【参加者の役職、人数、テーマへの理解度を入力】
【伝えたい事実や材料】
・【現在起きている課題】
・【これまでに試したこと】
・【得られた結果】
・【残っている問題】
・【今後の予定】
【会議で決めたいこと】
・【判断してほしいこと】
・【会議後に決めておきたいこと】
【資料の条件】
・【スライド枚数】
・【説明時間】
・結論を先に示す
・1枚につき、伝えたいことは1つにする
次のルールで構成してください。
・意思決定が必要な場合は、1枚目に提案や結論を置く
・スライドタイトルは「現状」や「検証結果」のような
項目名ではなく、内容が伝わる文章にする
・成果だけでなく、残っている課題も分かる構成にする
・最後に、会議で決めてほしいことを整理する
各スライドについて、次の5項目を表形式で出してください。
1. スライド番号
2. タイトル
3. そのスライドで一番伝えたいこと
4. 載せる内容
5. 入れるとよい図やグラフ
最後に、構成全体の意図と確認が必要な情報を
箇条書きで示してください。
入力した情報から判断できないことは、
推測で補わないでください。
“`
最初から、すべての項目をきれいに埋める必要はありません。
分かる範囲で入力して構成案を出し、足りない部分をChatGPTとやり取りしながら補っていけば十分です。
大切なのは、出力された構成を完成品として受け取らないことです。
スライドの順番は会議の目的に合っているか。タイトルだけで内容が伝わるか。相手に何を決めてほしいのかが明確になっているか。
最後は自分で確認し、必要な部分を修正します。
ChatGPTを使う目的は、考えることをすべて任せることではありません。
真っ白な状態から構成を考える時間を減らし、本当に考えるべき部分に時間を使うことです。
次に会議資料を作るときは、PowerPointを開く前に、まずこのプロンプトを試してみてください。
